[読書感想文]2021年1月に読んでた本
@ なんばいきん · Tuesday, Feb 2, 2021 · 8 minute read · Update at Feb 2, 2021

ここ最近読んだものを唐突にどばっと紹介するコーナー。2021年1月編。


研究関係

The Social Nature of Emotion Expression: What Emotions Can Tell Us About the World
表情の社会的な機能に着目したレビューが掲載されてる本。2019年出版なので新しめ。著名な表情研究者たちによる最先端の研究を概観できるが、特におすすめなのがScarantinoのAffective Pragmatismの拡張に関するレビュー。BETとBECVの間で揺れる表情研究(参考)に実践的な方向性での示唆を与えうる意味でとてもこの理論には個人的に注目しているのだ。よっぽど暇なら自分用に記事を残しとくかもしれない。

「顔」の進化 あなたの顔はどこからきたのか (ブルーバックス)
人類の顔について、非常に広範な観点から議論されている人類学者の馬場悠男先生による最新の著書。某件で「種を越えた表情」について色々と考えてる時期だったのでとてもクリティカルな内容だった。特に日米の解剖学的制約に基づいた表情の違いはハッとさせられた。その方向で自分も研究してみて~。
ちなみに「最近の若者はやわらかいもの食べすぎてあごが小さくなりすぎている。固いもの食べろ!」という話があったので、娘には固いものを食べさせることを決意。

言語と行為 いかにして言葉でものごとを行うか (講談社学術文庫)
上にも書いた感情の哲学者Scarantinoが、彼の理論で当然のように「言語行為論」を引用しててそれがどういうものかを学びたかったのでちゃんと入門することにして読んだ本。結論から言うととても面白かった、ただほんとにスタートに立つための道具をそろえたようなそうでもないような状態、という感じにはなっている。本書で特徴的なのは「これこれというものを考えよう」「でもこれこれはこういう例があることから考えていまいちだ」という自己破壊的な流れが何度も繰り返されることだ。そのシニカルな態度に慣れる必要があるが、個人的にはすごくその性格も含めて愛すべき本になった。お次はサールの言語行為を読むぞ~。

自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
職場の同僚から教えてもらって、興味がわいたので手に取った本。妻とのひょんな会話から生じたタイトルにある疑問をテーマとした、一連の研究が紹介されている。「この結果からここまでが言える」「学会でこういった解釈の意見を聞いたが、自分はこう思う」「こうする必要があったからこれこれした」といったように、学会発表を含む研究の営みが丁寧に記述されており、研究のいろはを学べる側面もある良書なんじゃないかな、と思った。研究の内容も非常に興味深く、万人にお勧めできる。特に卒論をやりたいけどどうしたらいいかわからん、って人には一つのモデルケースとして紹介できるんじゃないかなと思った。

その他

仕事は楽しいかね?
Kindle Unlimitedで読めたので手に取った本。Unlimitedには毎週のファミ通を読ませてもらうという意味でもお世話になってる。読む雑誌があるならオススメ。とにかく、この本では「日々成長しよう」「楽しいことをしよう」みたいな感じのことが書いてあった。「いいこというおじさんだなぁ」と思いながら読んだのでみんなも「いいこというおじさんだなぁ」と思いながら読むといい。

研究者の子育て: 海外・双子・学生結婚・高齢出産・4人兄弟の親たち
この本もKindle Unlimitedで読めるようになった!読めるようになった経緯はこちら前作である研究者の結婚生活と同様に子育て真っ盛りの研究者としては共感するところあり、勉強になるところあり、の大満足な内容でした。ちなみにうちの娘はしきりに笑顔の模倣をするようになりました。かわいい!

現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)
理化学研究所の創設にかかわったとされる偉人について、全然ちゃんと勉強してなかったので一応学んでおこうと読んだ本。「技術は進歩しても道徳の目指すところは孔子の時代からはそんな変わらへんよ」というのはなるほどな、と思った。時代を感じる内容もいくつかあったけど、道徳規範は大事だなぁ、と改めて感じた本。

毎日娘がかわいくてぼくは幸せです。ではでは~。

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